三大○○というように、
いろんなもののトップ3を括りたがるのは日本人の性だろうか…。

なんと日本三大仏(!)もあるそうだ。

奈良の大仏、鎌倉の大仏は当確のようだが、
残る一つの座には諸説あり、その中の一つが、富山県高岡市にある高岡大仏。


端正な顔立ちで、なかなかのハンサムぶりである。

昨夜の宿は高岡大仏のすぐ裏の純和風旅館、
その名も「大佛旅館」にステイ。


大仏様のご加護か、ぐっすり寝られて元気いっぱい。

高岡は、伝統工芸品 高岡銅器の産地。

銅、真鍮、青銅、錫、鉄などの金属を素材に、
職人の手により鋳造、鍛造、研磨、着色といった加工を施し、
精緻で華麗な製品を生み出している。

1600年代(江戸初期)に藩主が鋳物業を推奨した頃から続く金屋町(かなやまち)は、
高岡で最も古い町。
石畳の道に格子造りの家並みが美しい。


ここ金屋町に本拠を構える「四津川製作所」。


“喜泉堂”のブランド名で
古くから香炉や仏像といった仏具や、置物、鉄瓶などを製造している。


細部まで緻密な技巧を施された作品の数々を拝見する。


まさに圧巻の一言。


こんなに小さな香炉にも細やかで精緻な細工が施される。

高い金属加工技術を活かして、
新たにテーブルウェアの分野へ”kisen”ブランドで進出している。

極薄に挽いたミズメザクラ木地の土台に真鍮を用いた新しいタイプの酒器。


GOOD DESIGN賞を受賞した洗練された意匠で、
日本に限らず欧米、アジアからの引き合いも多い逸品。


代表自らによるご説明も情熱たっぷり。
やはりいいものはいい人が作っている…。

格子造りの家を改装したショールーム「たたら庵 喜泉」。


瀟洒な内装に極上の高岡銅器製品をセンス良く配した空間は居心地も抜群。



続いては、斬新な錫製品を生み出し続け、
日本の錫製品のトップブランドとなった「能作」へ。


工場では、職人が砂で鋳型をひとつずつ丁寧に作っているところ。


大胆にして緻密な作業。


溶かした錫を流し込む鋳込み作業の後、
この鋳型を壊して製品を取り出すため、鋳型は一度しか使われない。



錫のインゴット。
錫は融点が低いため、鉄製の鍋に入れてコンロで過熱して溶かし、鋳型に流し込む。


鋳型から取り出した製品は丹念に磨きをかける。


もちろんこれも職人の手仕事。
磨き前と後の差は歴然!


ショールームにきれいに並べられた商品ひとつひとつが、
すぐ隣の工場で職人の手によってひとつひとつ生み出されたもの。


しばし感慨にふける。


「織田幸銅器」は高岡でも有数の大手銅器メーカー。


翌日から始まるフェアの準備真っ最中に、文字通りおじゃまする…。


ショールーム内には大小さまざまな置物、香炉、仏具、ブロンズ像や仏像まで、
所狭しと並べられ、圧巻以外の言葉が出てこない…。


この壺、2つで特価990万円也…。
銅の美しさを活かしたテーブルウェア R&Wシリーズもずらりと並ぶ。



締めくくりは、高岡地域地場産業センターへ閉館時間ギリギリに駆け込み、
銅器の製法から歴史、漆器や彫刻、和紙など他の産業についても駆け足で拝見。


本当はここだけで半日はかけたいボリューム感。
いつもどおりの駆け足の旅。


疲れた体を新幹線のシートに沈めて、
いい人いいものとの出会いを振り返りつつ、富山名物ますのすしに舌鼓。