下石。

おそらく地元の人しか読めないこの地名、
「おろし」と読む。

今回の旅は、
この下石にある美濃焼の名門窯元(カネコ小兵製陶所)からスタートした。


築60年になるこの建物は、
月に一度オープンする窯元の直営ショールーム。

木の柱と梁、塗り壁に擦りガラスの小さな建物は、
日本人なら誰もがほっとする場所だ。


まるでガラス製かと見紛うこの器、「ぎやまん」とはよく名づけたもの。

南蛮渡来の色とりどりのガラスを古の人々が初めて見たときにはこんな気持ではなかったか…。
輝きの奥深さに吸い込まれる…。


美しいが同時にこれは日常を彩る「生活の器」でもある。

食器洗浄機にかけることもでき、
しまいこまずに毎日使ってほしいと窯元は仰る。

実は忠之助商店スタッフはこの飯椀を家庭で日常的に使っている。
洗っても重ねても、びくともしない。
デザインの美と、用の美の共存見本がここにある。


ちなみにこちらのお皿、
フランスのクリスチャン・ディオール本店でも販売され、
世界的なパティシエもセレクトしている逸品である。


続いて、陶の里 市之倉へ。



明治17年創業の染付磁器や青磁を製作する窯元(豊泉窯)へうかがう。
数々の有名メーカーの磁器製品の製作も任される、実力派の窯だ。


真っ白な素地に、呉須(コバルト)の手描きの青がよく映える。

日本人が本来持っている美意識のひとつは、
こういうことなんだろうなと思い起こさせる。


忠之助商店スタッフが惹きこまれたのはこの錆十草(さびとくさ)柄。

手で一本一本描く十草文の風合い、色合い、間合いはまさに絶妙。
こんな器を使いたいと、直感が呼んでいる…。


こんなお雛様、見たことありますか!


宿は定番の多治見のビジネスホテル。
丸一日の商談と移動でへこたれた体に、天然温泉大浴場がたまらない。